第17章 地下都市の終焉
ウルド・ギールス
「腕を切っても血の匂いがしなかった。お前、もう吸血鬼じゃないな?」
斉藤(リーグ・スタフォード)
「君こそいつまで吸血鬼をやってるつもりだい?そんな事だから始祖に捨てられる」
ウルド・ギールス
「俺だけじゃない、お前も捨てられた」
彼は始祖に捨てられたと言った。
今はいない始祖と関わりがあるのならこの吸血鬼は上位始祖の可能性が高い。
「………」
あの吸血鬼が上位始祖だとして私はどうするべきなのか。
「…!?」
悩みながら辺りを確認すると、彼らに気を取られて気づかなかった存在に息を飲んだ。
私の視線の先にいるのは壁に埋め込まれた女の吸血鬼。
あれは間違いなく日本の女王、クルル・ツェペシだ。
「…っ」
これは私の手には負えない。
そう判断してすぐにこの場を離れる為に門へと走り出す。
でもその判断は遅かった。
レスト・カー
「がっ…」
「!」
背後から聞こえた何者かのうめき声。
そして近づいて来る1つの強力な気配。
「………」
逃げれない、そう理解した私の足は自然と止まっていた。
斉藤(リーグ・スタフォード)
「ん?」
気配の主は先程吸血鬼と対峙していた化け物。
彼は私に気づくと足を止めた。
斉藤(リーグ・スタフォード)
「なんで君からこの匂いがするんだい?」
「匂い…?」