第17章 地下都市の終焉
こんな音がすると私が起きるのは予想できるはずだ。
それでも2人が来ないという事は、やはりこの屋敷にはいないと考えれる。
ではここにいるのは誰か。
この音から敵である可能性が高いのは違いない。
「っ!」
腰に装備している短剣をいつでも抜ける様に手を添えた瞬間、屋敷全体が震える程の振動。
「…誰かが戦ってる」
それもかなり強い吸血鬼同士だ。
もしかすると、戦闘しているからお兄ちゃんかフェリドがこちらに来れないのかもしれない。
それ程の敵なら尚更私も行くべきだ。
「………」
耳を澄まして、音を頼りに私は走り出した。
*****
音の発生源だと思われる場所に近づくと、聞こえてきた話し声。
その声の中に2人の声は無い。
ウルド・ギールス
「リーグ、なんだそれは」
斉藤(リーグ・スタフォード)
「これ?何百年も呪いを練って人間と作ったんだ」
人間と関わろうとする物好きな吸血鬼はほとんどいない。
そんな変わり者の吸血鬼に心当たりは無い。
誰なのか確認する為に向こうから見えない様に注意を払いながら顔を出した。
「…!」
そこにいたのは吸血鬼と吸血鬼では無い何か。
その何かは一見人間や吸血鬼に見えるが、体から切り離された腕から伸びる鎖が否定している。
そして体と腕を繋ぐのはその鎖だけで、血すら出ていない。
まるで化け物だ。