第17章 地下都市の終焉
不思議に思ったレスト・カーもウルド・ギールスと同じ方向を見る。
ウルド・ギールス
「血の匂い…だが急に消えた」
レスト・カー
「え…」
その呟きを微かに聞き取り、首を傾げるレスト・カー。
血の匂いなんて僕には感じられなかった。
ウルド・ギールス
「行くぞ、付いてこいレスト・カー」
レスト・カー
「ちょっと!!」
そう言ってどこかへ行ってしまったウルド・ギールス。
突然声をかけられたレスト・カーは戸惑いながらも追いかけて行った。
フェリド
「………」
その様子を見てほくそ笑むフェリドくんを見て、大体の目的地は予測がつく。
恐らく彼らが向かったのはフェリドくんの屋敷だ。
*****
(アリスside)
何かが破壊された音が聞こえて目を覚ました。
「何…?」
これは緊急事態だ。
部屋にいる様に言われているが、このままここにいるのが安全だとは限らない。
「…よし」
立ち上がり、机に置いている血のビンを手に取る。
戦闘が行われているなら今の私は余り戦力にならない。
だから少しでも回復する為にビンを呷った。
「んっ…」
体に血が回る感覚。
これなら上位の吸血鬼じゃなければ戦えるだろう。
「………」
今も尚響き渡る音に警戒しつつ、扉の前へ立つ。
周辺から吸血鬼の気配は感じない。