第17章 地下都市の終焉
何も言えなくなった君月を置いてバスの様子を確認する。
クローリー
「これならなんとかなるかな」
工具を出してエンジンなどの確認をしていると君月が後ろに立った。
君月
「さっきの事…」
クローリー
「ん?」
振り向かずに作業しながら返事をする。
君月
「優の事が心配なのは確かだ。でもあの吸血鬼の事を心配しているのは嘘じゃない」
クローリー
「そ、何で君が心配するんだい?接点ないでしょ」
わざわざさっきの事を訂正する辺りこの人間は真面目なのだろう。
そんな所は僕の最後の弟子だったあいつに似ている気がした。
クローリー
「………」
でもすぐにフェリドくんが昔の話をするせいで思い出してしまった過去の記憶を封じ込める。
君月
「接点はない。だがあいつは俺を逃がしてくれた」
クローリー
「え、どういう事?」
簡単に流せない発言に修理していた手を止めた。
君月
「仲間が幻術を使って撤退を始めた時、俺に逃げろと言って解放したんだ」
クローリー
「………」
それであの時アリスが捕まえていたにも関わらず逃げれたのだと納得する。
確かに指揮官以外はどうでもいいと言ったが、やはり子供だ。
まだまだ甘さが消えない。
クローリー
「これ、フェリドくん知ったら何て言うかな」
君月
「!」
それを言った瞬間、君月の顔が凍りついた。