第17章 地下都市の終焉
クローリー
「ああ、アリスか」
何故この人間がアリスの事を気にするのか。
アリスはこの人間を捕まえていたはずだ。
その時に何かあったのかもしれない。
クローリー
「アリスがどうかした?」
君月
「いや…優に刺されてただろ」
クローリー
「そうだね」
君月
「そうだねって…」
困惑したように言われるが、心配する君月もおかしい。
アリスは吸血鬼、治癒能力がある事くらい知っているだろう。
クローリー
「アリスは君達とは違う、吸血鬼だ。逆に心配する理由が分からないな」
君月
「普通の吸血鬼なら心配はしないが、その吸血鬼は優の家族だ。心配くらいする」
クローリー
「へぇ…」
今の発言ですぐに理解した。
彼が心配しているのはアリスではなく優だ。
もしアリスが死んでいたら自分の仲間である優が悲しむ。
それも自分が殺した様なものだから一生後悔するだろう。
クローリー
「大丈夫だよ」
君月
「…何がだ?」
クローリー
「その子、アリスを刺した事覚えてないはずだから」
君月
「…!」
この反応、図星だったらしい。
暴走したのなら記憶は無いとフェリドくんが言っていたので嘘もついていない。
クローリー
「あ、あそこだね」
君月
「…ああ」
駅に着くと、すぐにバスを見つけた。