第6章 4年前
ミカ
「僕はミカエラ、君と同じで1人ぼっちだったけど今はここに家族がいる」
優一郎
「……」
家族という言葉にピクリと反応してしまう。
そんな俺を見て、一層笑みを深めたミカエラ。
ミカ
「今日からは君もだよ」
優一郎
「………くっだらねぇ…何が家族だ」
これは本心からの言葉。
吐き捨てるように言うと、ミカエラは軽く首を傾げる。
こいつは理由を言わないと納得しないだろう。
そう思い、俺にとって家族というものがどんな存在なのかを説明する。
優一郎
「俺は父親に殺されかけてここに来たんだ。母親は俺のことを悪魔の子だとかわめき散らして、最後には自殺しちまった」
子供達
「……」
そう言うと、孤児院は静寂に包まれた。
優一郎
「わかるか?俺にとっては家族なんて…」
ミカ
「へぇ〜それは大変だったね〜」
優一郎
「!」
子供達も院長先生も黙って聞いていた。
だが、ミカエラだけは違った。
ミカ
「僕も身の上話した方がいい?」
優一郎
「…は?」
ミカ
「僕は両親に虐待されたあげく、車から投げ捨てられてここに保護されましたー」
優一郎
「…!」
言葉が出なかった。
それは俺の話を聞いてあっさりと流しただけでなく、壮絶な身の上話をニコニコと笑いながら話していたから。