第6章 4年前
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4年前の冬―――百夜孤児院。
優しそうでちょっとふっくらとした女の人が孤児院のドアを開けて、俺を中に入れようとする。
この人はこの孤児院の院長で、当時8歳だった俺はただ黙って後に続いた。
暖かい室内に入ると、たくさんの子供達。
ドアを閉めて院長先生が声をかけると、遊ぶ手を止めて集まってきた。
院長
「クリスマスの今日、また家族が入りました。優一郎くんです!皆さん仲良くしてあげてくださいね〜」
ミカ
「はーい!」
優一郎
「!」
院長先生は笑顔で言うが、子供達は少し警戒しているようだ。
唯一反応した同い年くらいの金髪の男は、俺の方へ握手を求める手を出しながら近づいて来る。
ミカ
「僕はミカエラ、君も僕と同じ8歳なんだって?ここだと8歳は最年長だから仲良くしたいなぁ!」
優一郎
「……」
やはり同い年だった。
差し出された手をジッと見つめる。
返事をするかどうか、それは考えるまでもなかった。
視線を手から顔へと移す。
その表情は笑顔で無邪気な子供そのものだった。
それを見て、顔をそらす。
ミカ
「………」
無視をされたミカエラは笑顔のまま凍りついている。
そう感じたが、それは間違いだった。
次の瞬間ミカは笑顔のまま無理やり俺の手を握り、ブンブンと上下に振る。