第16章 名古屋決戦
グレンから視線を戻すと彼はグレンを見ながら楽しそうに笑う。
フェリド
「もう生成りなんだよねぇ〜」
クローリー
「生成り?」
フェリド
「完全な鬼になる直前の事だよ。だから彼は1日の時間を2つの人格で行ったり来たりしてる」
そんな人間がいるのか。
不思議ではあるが、フェリドくんが絡むと常識の範疇を超える事が多いので受け入れるしかなかった。
フェリド
「部下や仲間を救いたい理想主義者と、死んだ元恋人の怨霊に憑かれ鬼になり果てた完璧主義者」
フェリドくんの話が本当なら僕が戦ったのは恐らく前者。
後者の彼はどんな戦い方をするのだろうか。
そう思った時、グレンの気配が変わった。
フェリド
「さあモンスターがくるぞ」
フェリドくんが楽しげに言った瞬間、第十八位始祖の首が飛ぶ。
どうやったのか、拘束具も外れている。
クルル
「はっなんだその勝ち誇った顔は。その程度の動きで我らに刃向かうなど…」
グレン
「名古屋空港で終わりのセラフの人体実験をする。手伝え吸血鬼」
クルルに刀を突きつけながら言うグレン。
あのグレンは先程までとは違うグレンなのだ。
クルル
「…なるほど。お前、柊 真昼からの使者か?」
グレン
「……」
クルルの質問にグレンは答えなかった。
答えないグレンにクルルは攻撃をする。
グレン
「がっ…」