第16章 名古屋決戦
そんなクルルと違ってグレンへと怒りをぶつけたのは先程騒いでいたあの貴族だった。
第十八位始祖
「怯え震えろ、人間。貴族に手を出してただで済むと思ったか?」
グレンの頭を掴み目線の高さを合わせて挑発する。
グレン
「………」
グレンは黙って十八位始祖の顔を見ていたが、突然無表情のまま唾を吐きかけた。
そんな事をされて怒らない貴族の方が少ない。
第十八位始祖
「人間がぁぁ!!!」
グレン
「がっ…」
案の定激昂した吸血鬼に殴られ、蹴られるといった暴力を振るわれている。
クローリー
「へぇ…」
そんなボロボロになっていくグレンを見て僕は感心していた。
やはり人間はただ者じゃない。
あの吸血鬼は気付いていないが、グレンはわざと殴られている。
つまりここに連れて来られたのも彼の作戦通りという事になるのだ。
僕はまんまと彼の作戦通りの行動を取ってしまった。
フェリド
「やー!クローリーくん」
クローリー
「うわ、やっぱり来た」
フェリド
「失礼だな〜、うわって何よ?」
久しぶりの高揚感を味わっていると、平然と現れたフェリドくん。
ここに彼がいる時点で察しがついた。
クローリー
「今回の件は面白い事ばっかり起きるんだ。どうせ君の案件なんだろ?」
フェリド
「さてさてどうだろうね」
肯定はしないが、否定もしない。