第16章 名古屋決戦
その瞬間、箱から大きな口が飛び出して優ちゃんを箱の中へと引きずり込んだ。
「かはっ…」
優ちゃんの刀が抜けて崩れ落ちそうになる。
そんな私をお兄ちゃんが支えてくれた。
クローリー
「…怪我するなって言ったはずだけど」
「はは…ごめ、ん…」
呆れるお兄ちゃんに何とか謝る。
傷の位置を確認する為に刺された場所を触ってきたお兄ちゃん。
「…っ!!」
傷に手が触れた瞬間、痛みのせいか意識が遠くなった。
クローリー
「…本格的にまずいな」
また迷惑をかけてしまう。
お兄ちゃんの少し困った顔を見て、そんな事を思いながら意識を失った。
*****
(クローリーside)
暴走した優を捕まえて君月が逃げて行った後、アリスに軽く治療を施した。
屋敷の後始末は2人に任せ、アリスを抱き抱える。
クローリー
「じゃあ行こうか」
本当ならこのまま地下都市に戻りたい所だが、今から彼を連れていかなくてはいけない。
だからアリスを連れたままグレンと共に外に出た。
吸血鬼1
「クローリー様!」
クローリー
「ん?」
吸血鬼1
「…!!」
屋敷を出てすぐに吸血鬼に呼び止められる。
吸血鬼は人間を連れている事、そしてアリスを見て驚いた。
貴族と判別しやすい特徴ある白い服が貴族自身の血で染まっているのだ。