第16章 名古屋決戦
グレン
「………」
大人しく回した腕をそのまま拘束する。
そして連れて行く為に立たせようとした時、何かが外から突っ込んで来た。
「…っ!!」
クローリー
「ん?」
その正体は優ちゃん。
壁を破壊して飛び込んできた優ちゃんによって、近くにいた私は吹っ飛ばされた。
さすがに痛みを感じ、起き上がれない。
優一郎
「グレンを…返せぇぇ!!」
クローリー
「…!!」
優ちゃんは他の吸血鬼には見向きもせずにお兄ちゃんへと刀を振るう。
お兄ちゃんは当然全てを弾き返すが、先程よりも早くなっている動きに驚いていた。
クローリー
「凄い、ほんとに君は…人間か?」
確かにおかしい。
この短時間で何故こんなにも桁違いに早く、そして強くなっているのか。
優一郎
「阿修羅観音…三刀!!」
どうやら鬼呪装備の力も強くなっている様に感じる。
それを見て、お兄ちゃんもとうとう動いた。
クローリー
「剣よ…僕の血を吸え」
先程まではする気配すら見せなかったのに剣へと血を吸わせたのだ。
そしてすぐに優ちゃんへと斬りかかった。
優一郎
「!」
間一髪で躱した優ちゃん。
躱した事により、背後にあるビルが崩れ落ちる。
クローリー
「はは、でもこれで終わり」
そう言って剣を振り下ろすと優ちゃんは受けきれず、後ろへ大きく飛ばされた。
優一郎
「ぐっ…」