第16章 名古屋決戦
メガネの男
「くっ」
お兄ちゃんの剣を止めたのはギリギリ2人の間に入ったメガネの男。
そしてそれに続く様に下からは次々と人間が上がって来た。
クローリー
「おっと、いっぱい来た」
さすがのお兄ちゃんもこの状況には少しだけ驚いているらしい。
チェスとホーンを部屋に残して来ているという事実から想定外だった事も読み取れる。
クローリー
「やりなよ」
「……」
本気を出せばお兄ちゃんならこれくらい倒せるだろうが、指示が出たのなら従わざるを得ない。
優ちゃんの前で人間と戦いたくはないのだが、顔に出さずに動いた。
「…動かないで」
メガネの男
「…っ!?」
ターゲットはお兄ちゃんの剣を受け止められたメガネの男。
狙いを定め、男の背後に周ると首元に短剣を突きつける。
ピタリと動きを止めたメガネの男。
シノア
「君月さん!!」
優一郎
「なんで…!?」
仲間達も想定外の事態に焦っている。
殺すべきかと自分よりも背の高い後ろ姿を見ながら悩んでいると、君月と呼ばれたメガネの男が小さな声で呟いた。
君月
「くそ、バカ優…。この吸血鬼は攻撃しないんじゃなかったのかよ…」
「………」
彼の言葉から察するに、優ちゃんは私が人間を攻撃しないと言ったのだろう。
甘く見ないで欲しい。
いくら優ちゃんの仲間だと言っても私は吸血鬼だ。