第16章 名古屋決戦
離れた場所にいても聞こえる激しい金属音。
逃げて来るとするとこの音が変わる時だ。
廊下に一際大きく響き渡る銃声。
「来た」
お兄ちゃんの予想は大当たり。
逃げるには5階の窓から飛び降りるか、ここを通るしかない。
廊下の真ん中へと移動して部屋の方を見る。
グレン
「俺はもうだめだ!!お前が指揮をとって任務を続けろ!!」
グレンの叫ぶ声で彼が深夜だけを逃がそうとしている事に気づいた。
クローリー
「そうそう早く行きなよ。僕の気が変わらないうちに」
お兄ちゃんは本当に指揮官以外はどうでもいいらしい。
グレンがここに残るのなら深夜は逃げようが構わないみたいだ。
グレン
「行け深夜!!!」
それでも動かない深夜に痺れを切らしたグレンが叫んだその時だった。
私の目の前の床にヒビが入っていく。
「え…」
グレン
「ゆ、優!?」
そこから優ちゃんが飛び出してきた。
優一郎
「うおおおおお!!!」
叫びながらお兄ちゃんへと斬りかかろうとする。
でもお兄ちゃんはあっさりと受け止めた。
優一郎
「!!」
クローリー
「はは、甘いね」
勢いで突っ込んでしまった優ちゃんは体制を崩してしまう。
そんな隙をお兄ちゃんが見逃すはずもなく、躊躇なく剣を振り下ろした。
ここで優ちゃんを助けるのは非常にまずい。
だから私は動かなかった。