第16章 名古屋決戦
ようやく人間が攻めてきた。
見える範囲だけでもそこそこの人数はいる。
「結構いる…」
チェス
「そうですねぇ」
上から眺めていると、入口付近に待機していた吸血鬼達が戦闘を開始した事が確認できた。
ホーン
「始まりましたね」
3人は攻めてきた人間達を見ている。
私は全体を把握する為に人質がいる方へと目を向けた。
「あ」
人質の近くにも当然人間は集まっている。
そこには確か鳴海と呼ばれていた槍のような鬼呪装備を持っていた人間がいた。
彼がそこに配置されているのなら、優ちゃんも人質を解放しているのかもしれない。
「………」
優ちゃんとは戦わなくて良さそうだ。
それに少しだけ安心して指揮官を探す事に集中する。
クローリー
「さーて、どれが指揮官かな」
この戦いを遊びとしか思っていないお兄ちゃんの言葉を聞きながら人間達を見渡していると、目の前に1人の男が飛び出して来た。
グレン
「殺しに来たぞ、吸血鬼」
クローリー
「あ、見た事ある顔だ。じゃあ君が指揮官か」
飛び出してきたのは新宿攻防戦で指揮官をしていたグレン。
思ったより再会するのが早かった。
次会う時に真昼の事を教えてとは言ったけれど、この状況ではさすがに聞けない。
クローリー
「思ったより早く見つかって良かったよ」
軽く言いながらお兄ちゃんは剣を抜き、グレンの刀を受け止める。