第16章 名古屋決戦
「クローリーが2人を連れて来てって言ってるから来てもらえる?」
チェス
「はーい」
ホーン
「では行きましょうか」
ホーンからは前と違い、少しだけ緊張を感じた。
恐らくチェスが前の任務での事を話したのだろう。
牽制した甲斐があった。
これでクローリー派閥の吸血鬼に殺される事は無くなったと言ってもいい。
「連れて来たよ」
心配事が1つ片付いた事に安堵しながら部屋へと戻ってきた。
クローリー
「ホーン手当てしてやって」
ホーン
「はい、アリス様こちらに座ってください」
私が椅子に座るとホーンはすぐに手当てを始める。
手当てといっても血を拭って包帯などで固定するだけで足りる簡単な事だ。
「で、続きを話してくれるんだよね?」
クローリー
「ああ、チェスとホーンには既に話している事だけど…」
そう前置きをして、お兄ちゃんは先程話していた鬼呪装備へと目をやる。
その視線を追う様に全員の視線が集まった。
クローリー
「この武器の特徴からして誰かが人間に情報を流しまくってるんじゃないかと思ってね」
「情報を、ね」
クローリー
「そう。それも上層部の吸血鬼だ」
確かに考えた事がなかったが、言われてみれば吸血鬼に対抗できる武器を人間が持っている事はおかしな話だ。
その力があるから吸血鬼と対等に渡り合えて、尚且つ捕獲までしている。