第16章 名古屋決戦
足を止めて振り返ると、お兄ちゃんは外へと視線を向けている。
「…ここに来るの?」
クローリー
「名古屋に来てる中で1番偉い奴をここに呼べって言ったんだ。もうすぐ来る頃じゃないかな」
1番偉い奴となると強い人間が送り込まれるはずだ。
それは急がなくてはいけないのも頷ける。
「もっと早く教えてくれればいいのに」
クローリー
「ごめん、少し引っかかる事があってそっちに気を取られてたんだよ」
思わず文句を言うと謝りながらもそう言われた。
でもお兄ちゃんが何かに引っかかり、悩んでいるのは珍しい。
「何が気になってるの?」
クローリー
「…アリスは少しおかしいと思わないか?」
「…何が?」
お兄ちゃんの言いたい事が分からずに聞き返す。
今回の件でおかしい事は何か、それを考え始めると止められた。
クローリー
「手当てが先だ。この話はまた後で」
「はぁ…分かった」
クローリー
「ここに2人を連れて来たらすぐに話すよ」
こう言った限り何があっても絶対に続きを話さない。
それが分かっているから私は大人しく部屋を出た。
*****
ありがたい事に2人はすぐに見つかった。
ホーン
「クローリー様がそう言われると思って準備してました」
ホーンに至ってはもう清潔な布などを準備している。