第16章 名古屋決戦
「治す方法は?」
クローリー
「それは簡単だ。鬼呪の毒を抜けばいい」
鬼呪の毒を抜く装置はここにはない。
だから地下都市まで戻らなくてはいけない。
クローリー
「ただ時間が経っているのに出血量が多いな…」
懐から取り出したハンカチを当ててくれるが、白かったハンカチは瞬く間に赤に染まった。
こんな傷を見ていると吸血鬼も人間とあまり変わらない様に思える。
「お兄ちゃん?」
クローリー
「…ん?」
肩に押し当てたまま動かなくなったお兄ちゃん。
私の声への反応も少し遅れている。
それを見て私はピンときた。
「血が止まらない理由、何か心当たりでもあるの?」
クローリー
「………」
黙ってじっとこちらを見てくる。
どうやら私の言った事は当たっているらしい
「………」
クローリー
「………」
だが、お兄ちゃんは何も言おうとしなかった。
また私には内緒なのかと思わずむっとする。
クローリー
「拗ねないの」
「…拗ねてない」
クローリー
「はは、そういう所は子供なんだよな」
馬鹿にされているのかは分からないが、お兄ちゃんもフェリドも秘密主義。
私がこういう反応をするのも仕方がないのではないだろうか。
クローリー
「まぁ確証がある訳じゃないから話半分に聞くんだよ」
「分かった」
でも今回は話してくれるらしい。