第16章 名古屋決戦
私の報告を聞いても怒る気配がない。
つまり助けないという選択で良かったのかもしれない。
「…何あれ」
安心してお兄ちゃんと同じ様に外へと目を向けると、
そこには目を疑う光景が広がっていた。
ボロボロの日本帝鬼軍の人間達が十字架に縛り付けられて並んでいる。
クローリー
「アリスが出ていった後に人間が攻めてきたんだ」
まさかルカル・ウェスカーだけでなくここも襲われているとは思わなかった。
ここも狙われたという事は、日本帝鬼軍は貴族の居場所を掴んでいるのだろう。
「あの人間達は生きてる?」
クローリー
「生きてるよ、彼らは人質」
「…そっか」
こちらに来たのが優ちゃんでなくて良かった。
傷つき今にも死にそうな人間を見て、ついそう思ってしまう。
クローリー
「さてと…それ鬼呪装備にやられたんだろ」
「うん、よく分かったね」
近くから見ると分かるだろうが、この距離でなぜ分かったのか。
不思議に思っているとお兄ちゃんは近くに落ちていた剣を拾った。
クローリー
「これ人間の武器なんだよ。さっき試したけど傷が全然治らない」
そう言って近づくと、私の肩を流れる血を人差し指で掬い取る。
クローリー
「この傷も血が止まってないだろ?」
そしてその人差し指を舐めた。
理由は分かったが、どうやったら血が止まるのだろうか。