第16章 名古屋決戦
追跡されない様に用心しながら屋敷へと向かった。
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屋敷に着く頃には大量に血が抜けた事でふらついていた。
「っ…はぁ…」
息もかなり荒く、吸血鬼でもこんな風になるのだとどこか他人事の様に考えてしまう。
「…ただいま」
普段は絶対にしないが、今回ばかりは乱暴に扉を開けた。
チェス
「ん〜?」
ホーン
「…っ!」
私の異変、そして血の匂いに気づいた2人。
彼女達に説明している暇はない。
「後で説明するから通して」
チェス
「あ…」
私の血は普通の吸血鬼よりかなり美味しいとフェリドが言っていた。
この状態で理性を失った2人に襲われたら堪らないので返事を聞く前に横を通り過ぎ、出る時にお兄ちゃんがいた部屋へ最短ルートで向かう。
「入ってもいい?」
クローリー
「いいよ」
扉の前で声をかけると案の定この部屋にお兄ちゃんはいた。
お兄ちゃんは大きな窓から外を見ている。
クローリー
「おかえり」
「ただいま」
お兄ちゃんも私の傷に気づいているだろうが、とりあえず報告が先だ。
「ルカル・ウェスカーは人間に殺された。一応手紙は渡したよ」
クローリー
「ああ、死んだのか」
「私が着いた時には従者の吸血鬼が既に死んでたから少し前から戦闘してたと思う」
クローリー
「分かった。お疲れ様」