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罪と罰【終わりのセラフ】

第16章 名古屋決戦




気にせず距離を詰めると、こちらへ手を伸ばしてくる。


「…?」


私も少なからず動揺していたのだろう。
咄嗟に反応できずにいると、深夜は私の赤くなった右目の目元を優しく擦ってきた。


深夜
「これ、こんな風になってるのは君だけ?」

「………」


私は答えれなかった。
体温のない冷たい頬を撫でる深夜の暖かい手。
それは久しぶりに感じる人の暖かさで、吸血鬼とはいえまだまだ子供の私には抗えるものではなかった。


深夜
「ん?…ふふ」


大人しくしている私を見て優しく笑う深夜。
そしてぐっと私を引き寄せ、抱きしめた。


「…深夜?」

深夜
「吸血鬼でも君はまだ子供なんだ。甘えてもいいんだよ」


子供をあやす様に背中を撫でられる。
こんな事されるのはいつぶりだろうか。

早く離れないと今の私は隙だらけだ。
それでも離れがたいと思っていると、彼が私を現実に戻した。


優一郎
「…どういう事だよ」

「……っ」


震える声で小さく呟いた言葉はちゃんと私の耳に届いている。
だから私は深夜から離れ、立ち去ろうとした。

勝手に優ちゃんに会うのはフェリドにとって良くないだろうから。


優一郎
「待てよ!!」

「………」


今度はハッキリとした声。
早くここから立ち去りたいのに思わず止まってしまう。


優一郎
「アリスなのか…?お前も吸血鬼になったのか…?」
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