第16章 名古屋決戦
でも優ちゃんの目の前で人間を殺すのは気が引ける。
人間達の位置を確認しながらどうするか考えていると、1人の人間が前に出た。
深夜
「ごめん、離してあげてくれないかな?」
柊 深夜だ。
「逃げれたんだ」
深夜
「うん。あの時は助かったよ」
せっかく助けたのだ。
話が通じるなら殺さなくて済む。
そう思って短剣を収め、捕まえていた男の背を押した。
槍のような装備の男
「おわ!」
優一郎
「鳴海!!」
人質も居なくなった今、人数的に不利なのは私。
だから笑って話しかける。
「深夜」
深夜
「ん?」
「戦う?」
友達と話す様に軽い感じで聞くと、深夜以外の人間が警戒し始めた。
仲良さそうなのにも関わらず、遠回しに殺すと言っているのだからそうなるのも仕方ない。
深夜
「はは、それは勘弁。僕達瞬殺されちゃうよ」
やはり深夜は戦う気がない様だ。
気の強そうな女
「深夜様!?」
シノア
「戦わなくていいんですか?」
でも他の人間はそうはいかない。
貴族を更に殺せるかもしれない、そんなチャンスを無駄にするのは有り得ないだろう。
深夜
「いいよ。ここにいる全員で戦っても勝てない」
鳴海
「そんなに強いのですか?」
深夜
「やってみる?」
鳴海
「いえ…」
深夜がここまで言うからだろう。
先程挑んできた鳴海も大人しくなった。