第16章 名古屋決戦
僕達を生かしたのは利用しようとしているからなのか。
僕達を使って何をしたいのか。
クルル
「………」
そんな思いを込めた質問に、クルルは答えない。
その代わり、クルルははっきりと言った。
クルル
「信じなさい」
そのたった一言で僕はこれ以上何も言えなくなってしまう。
クルル
「これから始まる戦争、そこで人間からも吸血鬼からも隠れて優を回収してきなさい」
ミカ
「優ちゃんを…」
クルル
「そう。私を信じて動けばあなたにとっても良いようになるから」
優ちゃんは僕が助ける。
僕だけでなくクルルの為にもだ。
そう誓い直した次の日には全吸血鬼に戦争開始する事と任務の指令が出たのだった。
*****
(アリスside)
「………」
私は静寂に包まれた名古屋の街並みを1人、歩いていた。
街は廃墟と化しているが、こんな風に外を歩くのは初めての事で気分が良い。
でも遊んでいる訳でもお兄ちゃんやフェリドから逃げてきた訳でもない。
今回はお使いを頼まれたのだ。
「えっと…」
渡された手紙とそれを渡す相手の写真を見ながら辺りを見渡す。
写真の吸血鬼は名古屋を拠点としている第十五位始祖。
「…男かな」
手元の写真には男とも女とも言えない吸血鬼が写っている。