第16章 名古屋決戦
そう言ってフェリドは僕の後ろへと逃げ、背中を盾に冷たい笑みを浮かべた。
フェリド
「でももう殺せないでしょう?今僕が死んだら疑われるのは君だ」
クルル
「…ちっ」
苛立ちを顕にするが、フェリドの言葉通りクルルは動かない。
フェリド
「でも僕の事は前から殺せないんだよね〜?」
ミカ
「……?」
更にクルルを挑発するフェリドだが、その意味が分からずに後ろへと視線をやった。
フェリド
「ん?ああ、僕が死ぬとね。上位始祖達に僕が握っている秘密が届く様になっているんだよ」
クルル
「………」
そんな僕に気づいたフェリドが答えるのと同時にクルルが苦い顔をする。
その反応からして事実なのだろう。
つまりフェリドにはこの女王ですら思い通りに動かせるのだ。
改めてこの吸血鬼の恐ろしさを実感する。
フェリド
「まさか吸血鬼の女王が禁忌の研究、終わりのセラフに手を出してるなんてね。あんなものに触れて女王は何が欲しいのかな〜?」
クルル
「………」
フェリド
「あは、そんな可愛い顔で睨まないでよ」
笑いながらクルルを追い詰めるフェリド。
だが、クルルはここまで言われても攻撃しようとしない。
フェリド
「………」
それを確認してフェリドは僕から手を離した。