第15章 特異な存在
何が言いたいのか分かっているから先回りをして言った。
暮人
「お前らが敵の目を引き付けてくれてる間に決戦の準備をする」
グレン
「つまり俺には本当の計画を話せない、か」
暮人
「拗ねるなよ」
グレン
「拗ねてねぇ」
最前線に立つ事になるこいつにはそれ以外の情報を与えれない。
それをグレン自身も分かっているからこそ、これ以上は何も言わなかった。
暮人
「まぁ、お前はいつも通り黙って従え」
この戦いが終わる頃には人間はまた1歩吸血鬼を追い詰める。
そう確信して葵が用意した紅茶を飲んだ。
*****
(アリスside)
あれから3日目。
私は深夜を逃がした罰として3日間は部屋に居るようにと言われていた。
「暇だな…」
普段から出歩いていた訳では無いが、さすがに3日間も部屋に籠ると飽きが来る。
ソファーにゴロンと寝転がり窓の外を眺めていると、ノックと共に扉が開いた。
横になったまま顔だけを扉へと向ける。
クローリー
「入るよ」
そこに居たのはお兄ちゃんだった。
お兄ちゃんに会うのは部屋に籠る前が最後だから少しだけ久しぶりに感じる。
「なんか久しぶりだね」
そう言いながら起き上がると、お兄ちゃんは私の横に腰掛けた。