第15章 特異な存在
今の深夜を見ても嘘をついている様には全く見えない。
だが、深夜は養子とはいえ柊の人間。
柊の人間はそこらの人間とは違いタチが悪い。
征志郎はただのバカだが真昼やシノアもそうだ。
だから深夜の言う事を素直に信じられる訳が無い。
暮人
「おい深夜、さっさと言え」
深夜
「だからそれに書いてある通りだよ」
このままではきりがない。
そう思い質問を変える。
暮人
「じゃあ質問を変えよう。お前は任務の時に左右の瞳の色が違う吸血鬼に出会った。違うか?」
深夜
「……そっちが本当に聞きたかった事なの?兄さん?」
反応が明らかに変わった。
やはり深夜は例の吸血鬼と接触している。
暮人
「会ったのならさっさと対峙した感想でも言えよ」
深夜
「まだ会ったなんて言ってないよ」
予想はしていたが言う気は無いらしい。
ならば次の手に出るだけだ。
暮人
「葵」
葵
「はい」
暮人
「グレンを呼んでこい」
理由は説明しない。
もちろん葵も詳しく聞いてこず、すぐに部屋を出ていった。
深夜
「…兄さん」
暮人
「どうした。言う気にでもなったか?」
俺を呼んだ深夜はこの後起こるであろう事を想像して苦い顔を浮かべている。
そしてその想像は間違っていないので俺も敢えてそう聞いた。
これで答えなかったら深夜の仲間であるグレンを拷問するしかないだろう。