第15章 特異な存在
フェリド
「時が来たら教えるよ」
あれだけ悩んで出した結論は情報を教えないという事だった。
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(暮人side)
暮人
「ほう…なるほどな」
手元にある資料を読みながら思わず呟く。
その声に傍で控えていた1人の女が反応した。
葵
「暮人様…?」
三宮 葵(さんぐう あおい)。
葵は優秀な部下だから俺が言わない限り聞き出そうとはしない。
でも今回の事は別に話してもいい事だ。
暮人
「潜入しているスパイが興味深い事を書いている」
葵
「どの子ですか?」
紅茶を準備していた手を止め、近づいてきた葵。
暮人
「第七位始祖のフェリド・バートリーに取り入っている奴だ」
血を差し出す子供なら来る者拒まず受け入れる変わり者の吸血鬼。
この吸血鬼は他の吸血鬼に比べて特に情報が少ない。
葵
「では貴族について何か分かったのですか?」
貴族の情報。
それはほとんど手に入らない貴重な物だ。
だからか葵は少しだけ期待している様に見えた。
暮人
「恐らく貴族だ」
葵
「…恐らく?」
報告はフェリド・バートリーの元にいるスパイからだが、情報は別の吸血鬼。
フェリド・バートリーの屋敷に住んでいる女の吸血鬼に関する重要な情報だ。
ただこれを話すにはまだ役者が足りない。
暮人
「葵、深夜を呼んでこい」