第15章 特異な存在
フェリド
「アリスちゃんか。おかえ……」
近づいて行くとフェリドの顔が固まった。
私の目に気づいたらしい。
「フェリド、この目…」
サキラ
「フェリド様」
彼らが来る前に済ませる為に話そうとしたが、後ろから聞こえた声に遮られた。
目の前のフェリドも私の後ろへと視線を向ける。
フェリド
「あれ、どうしたの?」
フオラ
「フェリド様が我々をお呼びになったのですよ」
フェリド
「ん〜?呼んだ覚え無いけどな〜」
フェリドに呼ばれたと言っていた2人だが、呼んだ本人は覚えていないようだ。
こういう事は良くあるからフオラもサキラも驚く事はない。
フオラ
「では我々は帰っていいと?」
フェリド
「そうだね〜」
これはよく見る光景。
でもフェリドはとても賢い吸血鬼だから忘れてはいないはずだ。
多分ほぼ毎回覚えている。
めんどくさい時や、タイミングが悪い時などにこの手を使うのだ。
今回は私の目の事を早く解決したいからだろう。
サキラ
「気になる事もありますが…帰りますね」
2人は私の事を気にしていたが、用がないと言われてはどうしようもない。
最後に私を射抜くように見てから出て行った。
「はぁ…」
なんとかやり過ごせた安堵からため息が出る。
でも本題はここからだ。
フェリド
「さて、アリスちゃん。とりあえず部屋に行こうか」