第15章 特異な存在
優ちゃんに似ている。
黒い髪も強い瞳も思わず優ちゃんと重ねてしまう。
「教えてくれてありがと」
男の子
「!」
これ以上関わるのは危険だ。
だから頭を軽く撫でて、2人が待っている部屋から玄関へと進路を変えて歩き出した。
男の子
「…お姉さんは優しいね」
そんな私の背中に呟く男の子。
普通吸血鬼にそんな事言う子供はいない。
違和感を感じて振り向く。
「……っ」
男の子は優しい笑顔を浮かべていた。
先程までとは違う妙に大人びた表情。
この子はただの子供では無い。
私は直感的にそう思った。
「…ばいばい」
男の子
「…!」
最後にそう告げて私は今度こそ立ち去る。
あの発言に深い意味はあるのか。
甘える相手がいないからつい漏れて待った言葉か、吸血鬼の性格を探っていたか。
あの表情からすると考えられる正体は1つ。
「スパイかな」
だから最初は黙っていたのに今度は関わってきた。
でもあの子がスパイだったとしてもフェリドには教えるつもりは無い。
もしそうだとしてフェリドはほぼ確実に知っているだろうからだ。
そんな事を考えていると玄関に到着する。
そこには帰宅したばかりと思われるフェリドが居た。
「よかった」
フェリド
「ん?」
少し距離があったが、私の声に反応したフェリドがこちらを見る。