第15章 特異な存在
フェリドはお気に入りの子供達が屋敷で歩き回るのを許可している為、子供と出会う事は珍しくはない。
でもその子供達は怯えながら作った笑顔を浮かべるので苦手だ。
だからいつも通り気にせず通り過ぎようとした。
男の子
「あの!」
「…?」
横を通り過ぎる瞬間、男の子は弾けた様に声を出した。
まさか話しかけてくるとは思わず驚いた私に、男の子は恐る恐る続けた。
男の子
「フェリド様は、もうすぐ帰ってくると思い…ます」
「そうなの?」
少し屈んで、目を合わせて問いかける。
私との距離が近づいて少し怯えたが、自分の震える手をギュッと握りしめると強い意志が見える瞳を合わせてきた。
男の子
「フェリド様、20分位で帰ってくるって言ってたから」
「そっか。わざわざ君に言って行ったの?」
男の子
「うん。帰ってきたら僕の…」
年相応の話し方になっていた男の子に、張っていた気が少し緩む。
だからいつもより優しい声で話していたのだが、私が聞くと突然歯切れが悪くなった。
「言いたくないならいいよ」
男の子
「あ、そんなんじゃなくて…」
もう話したくないのだろうと思い立ち上がると、男の子は焦って服の裾を掴んでくる。
男の子
「血を頂戴ねって言われたから…」
「ああ…」
反応で分かった。
この子は自分が家畜の様に扱われるのが嫌なのだろう。