第15章 特異な存在
最悪な事にあの2人は不在。
それに丁度良かったという事は私を解放するつもりはないのだろう。
吸血鬼化しても人間臭さが取れない私を嫌っているこの2人。
これはかなり私に不利な状況だ。
「教えて頂き助かりました。私は部屋に戻りますので失礼します」
だから何かを言われる前に逃げようとした。
サキラ
「ちょっと」
でもそんな上手くいかず、私は止められてしまう。
サキラ
「フェリド様が帰ってくるまでその目の事、詳しく聞かせなさいよ」
「分かりました。でも任務帰りなので1度部屋に行ってもいいですか?」
サキラ
「構わないわ」
これを断るとお兄ちゃんが嫌味を言われるはずだ。
深夜の事を話さない様に変色についても話さなくてはいけない。
「はぁ…」
遠ざかる2人の背中を見ながら思わずため息が零れる。
部屋で時間を稼いでいる間にフェリドが帰ってくる事を祈って、ゆっくりと部屋へ向かった。
*****
時間をかけて着替えをし、どちらかだけでも帰ってきている事を信じて部屋から出る。
血を飲むことを拒んできた私が今になって血を飲んだ。
この事をフェリド達にもなんと言えばいいのか悩んでいたくらいなのにあの2人を騙す事が私にできるだろうか。
悶々としながら歩いていると、角を曲がった先に小さな人影。
男の子
「あ」
「さっきの子…?」