第15章 特異な存在
見つめ合う様に黙っている私とフェリドのお気に入りの子供。
しばらく待ったが何も言わないので他を当たろうとした時だった。
?
「フェリド様はいないぞ」
?
「クローリー・ユースフォードもね」
「…!」
私を呼び止めたのは2人の吸血鬼。
高圧的な態度の男が第十位始祖のフオラ・オント。
そして一緒にいる女が第十一位始祖のサキラ・ミアス。
彼らはフェリドの派閥に属する貴族の2人。
だからこの屋敷に来ていてもおかしくはないのだが、何故今遭遇してしまうのか。
そんな自分の不運を恨みながら彼らに軽く頭を下げた。
「フオラ・オント様、サキラ・ミアス様」
フオラ
「…お前、その目はなんだ」
「………」
至極真っ当な疑問。
でもフェリドとお兄ちゃんより先に彼らに気づかれたのは失態だった。
いくら実力は私の方が上だとはいえ、2人は自分より上の階級。
お兄ちゃんの手前下手な事は言えない。
「色々ありまして…」
サキラ
「へぇ…色々、ねぇ」
探る様な眼差し。
この反応から察するに、彼らもこんな状態の吸血鬼を見るのは初めてなのだろう。
「そんな事よりどうしてこちらに?」
フオラ
「フェリド様に呼ばれたんだ。出ていってしまっていたみたいだが…」
サキラ
「クローリー・ユースフォードも名古屋に帰っているみたいだし、あなたが帰ってきて丁度良かったわね」