第14章 任務
彼らに気づかれぬ様に小さな声で告げて深夜から離れた。
血を吸われてふらふらな状態の彼を1人にするのは危険でしかない。
もちろん吸血鬼も危険なのだが、人間にはヨハネの四騎士が寄ってくる。
本拠地がある渋谷まで遭遇しない方が珍しいだろう。
ラクス
「殺した?」
「………」
下を見ながら歩いていると、すぐ目の前から声をかけられた。
どうやら考え事をしている間にラクスとレーネの近くまで来ていたようだ。
「つい、ね」
レーネ
「え…」
そう言いながら顔を上げると、レーネは目を開き驚いた顔をしていた。
「…何?」
レーネ
「いや…目が」
「目?」
目元へ手を持っていくが、何が言いたいのか分からない。
続きを言う様に促すと、言葉を続けたのはラクスだった。
ラクス
「目の色、変わってるぞ」
「ああ…」
吸血鬼化した人間が初めて人間の血を飲むと目の色が赤く変色する。
私はまだ飲んでいなかったから変色していなかったが、今変わったのだ。
「今初めて吸ったから変わったんでしょ?」
そう答えても彼らの反応はおかしい。
「何なの?」
煮え切らない態度に苛立ち、冷たく言う。
すると、恐る恐るといった様子のラクスが異常事態を知らせてきた。
ラクス
「お前…右目だけが赤くなってるぞ」
「……!」
思わず左目を手で覆う。