第14章 任務
それだけで敵でないと判断してしまう私は甘いのかもしれないが、それが私だ。
いつもの調子が戻ってきた。
「ちょっと我慢してね」
深夜
「うわ…!」
小さく伝えて深夜の腕を掴み、立ち上がらせる。
そして抱きついて首を顕にさせた。
深夜
「何して…っ!」
私の行動が理解できずに呆然とする深夜。
そんな深夜の白い首へ、私はそっと牙を立てた。
深夜
「う……ぁ……」
すぐ上から聞こえる声。
初めての人間への吸血行為に溺れない様に苦しげな声に集中する。
人間の血は美味しすぎるから吸い殺したくなると言う吸血鬼がいたが、その気持ちが嫌でも分かってしまう。
それ程まで吸血鬼の血と人間の血の味は違っていた。
「んっ…」
恐ろしい程の甘美な味と香り。
そんな血の欲求に負けて理性を失わない様に気をつけながらゆっくりと血を飲み込んだ。
深夜
「は……ぁ…」
深夜の力が抜けて私に体重がかかってくる。
そろそろいいだろう。
「…ふぅ」
遠目から見て吸い殺した様に見える事を祈りながら深夜の首から牙を抜いた。
血のついた口元を拭って深夜から手を離すと、彼の体が崩れ落ちる。
深夜
「……っ」
地面に叩きつけられた深夜。
横目でラクス達を見ると、彼らはこちらの様子を見て何かを話し合っている。
「後は1人で頑張って」