第14章 任務
訳が分からなくなり、レイピアを持つ手が震え始めたそんな時だった。
?
「小鳥遊…アリスちゃん?」
「…!?」
?
「その顔に目の色…アリスちゃんじゃないの…?」
銀髪の狙撃手から出たのは私の名前。
「なんで……私の名前を…」
私の名字はフェリド以外は知らない。
お兄ちゃんは知っているかもしれないが、吸血鬼にはアリスとしか名乗っていないのだ。
?
「やっぱり」
動揺し、声が震える私を落ちつかせる様に柔らかい声で呟いた彼の表情はとても穏やかに見える。
少なくとも私の敵には見えなかった。
?
「でも君は間違いなく人間だった。あの後に何があったの?」
「あの後…?」
この人は人間だった私の事を知っている。
だから彼の事を殺せなかったのかもしれない。
「私と会った事があるの?」
?
「覚えてない?僕が学生の頃だから…8年前」
8年前なら世界が崩壊する前の事だ。
地下都市に来る前ならその記憶は私には無い。
否定の意味を込めて首を振ると、彼は苦笑を浮かべた。
?
「まぁ君と色々話したのはグレンだったからね。僕とは10分程一緒にいて、話しただけだから覚えてなくても変じゃないよ」
「…え」
グレンとは確か新宿にいたあの男。
私は彼とも昔会っていたのだろうか。
ラクス
「手伝った方がいいかー?」