第14章 任務
?
「白虎丸…!」
「わ…」
その銃から放たれたのは銃弾では無く、虎の化け物。
この距離で鬼呪装備を躱すのは正直厳しい。
仕方ないので短剣で受け、総裁されなかった分はそのまま受けた。
「…ぐっ」
やはり普通の武器の攻撃とは全く違う。
肺辺りをやられたのか、口から血が伝った。
口元を拭い、狙撃手に近づく。
「あ、新宿にいた人…?」
?
「……」
銀髪の狙撃手は苦い顔をして何も答えない。
それはそうだ。
彼は人間、私は吸血鬼。
「話すわけないか」
?
「……?」
久しぶりに1対1で人間と対面したからだろうか。
つい昔の様に人間へと話しかけてしまった。
敵同士という以前に吸血鬼は人間からすると恐怖の対象、憎い化け物。
そんな相手と話す訳がない。
「あの2人がいなかったら逃がしてあげれたけど…」
短剣を仕舞って、レイピアを取り出す。
こちらの方が苦しめなくて済む。
「ごめんね…?」
殺してはいけない。
何故かそんな信号が脳から出ているような気がする。
先程も殺したのに何故か彼にだけだ。
「…っ」
?
「え…」
殺したくないのに殺さなくてはいけない。
頭と心が反発し合い、気がついた時には涙が頬を伝っていた。
何故今にでも殺されそうな彼ではなく、私が泣いているのだろうか。