第14章 任務
バランスを崩して倒れ込みそうになる指揮官。
受け身を取ろうとした体を踏みつけて地面に叩きつけると、頭めがけて短剣を振り下ろす。
「………」
本当はそうしたかったが少しズラして顔のすぐ目の前に突き刺した。
指揮官
「ぐっ……」
「それで実力が…何でしたか?」
苦しげに顔を歪めた指揮官、そして周りで見ていた吸血鬼達。
彼らを睨みながらそう言うと誰も言い返す事はなかった。
*****
ラクス
「さっき言った事、訂正するよ」
「…そう」
指揮官達が逃げるように地下都市へと帰った後、いきなりそう言われた。
この場に残っているのは私とチェス、そしてラクスとレーネ。
ヨハネの四騎士に襲われた女の子は父親に連れられて駅へと戻って行った。
私もそろそろ戻ろうかと思ったが、ラクスとレーネはまだ何か言いたそうにしている。
「チェス、先に帰っていいよ」
チェス
「え?わかりましたぁ〜」
だからチェスにそう声をかけると、ビクッとして去っていった。
実力を見せた事が効いているのかもしれない。
これでチェスはホーンにもこの事を報告するだろうから、私の実力は伝わるはずだ。
今回の目的の1つが果たせそうなので安心して、目の前にいるラクスへと目を向けた。
ラクス
「………」
「………」
しばらく待ったが、彼は何も言わない。