第14章 任務
「はい、終わり」
他の吸血鬼には出番も与えずに呆気なく終わった戦い。
ちゃんと役目を果たしてくれたレイピアをそっと収めた。
眠る様に死んでいった人間達。
レイピアに仕込んである強力な毒により、苦しまずに一瞬で死ねたはずだ。
これが人間を殺す事に気乗りしなかった私にお兄ちゃんが考えてくれた戦い方。
そしてお兄ちゃんの考え通り、この方法で私は人を殺した。
指揮官
「いやー、恐れ入りました。お強いですねー」
「…どうも」
少し沈んでしまった気持ちを他の吸血鬼には悟られない様に平静を保っていると、声をかけてきたのは一部始終を見ていた指揮官。
指揮官
「しかし…毒、ですか」
吸血鬼1
「…ですね」
今度は毒って事で馬鹿にするらしい。
貴族だからこその動きを見せてもどうしても下に見たいのだろう。
指揮官
「所詮は子供の浅知恵、実力をそうやってカバーしていたという事ですね」
「……はぁ」
ずる賢い、そう言われた気がした。
これ以上の侮辱は戦闘を仕込んでくれたお兄ちゃんにも悪い。
そして私の親という扱いになるフェリドにも一応失礼だ。
「…言いたい事はそれだけですか」
指揮官
「は…?」
そう告げて短剣を取り出し、跳躍する。
間抜けな声を出した指揮官の目が追いつかないスピードで背後を取り、脚を払った。
指揮官
「なっ…!」