第14章 任務
ここに配置されている吸血鬼は見当たらないが、気配で気づかれない様に注意しながら駅の上に降り立った。
「吸血鬼は気配的に3人、人間は…」
目を閉じ、気配を探る。
駅の中にいるのは12人、そしてあの女の子を合わせると13人。
「…不吉な数字」
この不吉さはあの日本帝鬼軍に影響するか、私に影響するかは分からない。
そんな事を考えて苦笑していると、日本帝鬼軍がかなり近づいている事に気づいた。
「………」
小柄な体格を活かして身を隠し、気配を完全に消す。
私は今から人を殺す。
目を伏せてミカと優ちゃん、百夜孤児院のみんなを思い浮かべた。
「ごめんね」
心のどこかで人を殺す行為を拒否している気がしたが、気づかないふりをする。
私は今からお兄ちゃんの為に、そして自分が生きていく為に人を殺す。
*****
日本帝鬼軍は駅近くの建物の陰に隠れてから少し時間が経った。
でも出てくる気配は全くない。
この状況をあの指揮官はどうするつもりなのだろうか。
興味が湧いた私は様子を見る事にした。
場に広がる静寂。
先に動きをみせたのは吸血鬼だ。
女の子
「きゃあああ!!」
「……?」
響き渡ったのは女の子の悲鳴。
何が起きたのか分からなかった私は、目立たない様に悲鳴の先を見た。
「あ…」