第14章 任務
早く来てくれないと精神的に参ってしまいそうだ。
「ふぅ…」
深く息を吐いて目を凝らす。
日本帝鬼軍が来ると思われる方向をジッと見ていると何かが動いた。
身を隠しながら動いているが、吸血鬼が本気で見ようと思えばそのくらい簡単に見える。
「来ましたよ」
指揮官
「ん?」
身を隠しながら近づいてくる人間に何も言わない指揮官に声をかけるが、反応がおかしい。
見られている事に気づいていない人間達から後ろにいる吸血鬼達へと視線を移すと、その理由が分かった。
吸血鬼1
「お前見えるか…?」
吸血鬼2
「…いや」
「………」
彼らにはあそこにいる日本帝鬼軍が見えていない。
だから私以外反応をしない。
どうやら吸血鬼の力の強さによって見える距離がかなり変わるようだ。
「恐らく後10分程で駅に着くでしょうからもう行きますね」
指揮官
「は…?」
でも来た事には違いないので、一言伝えて崖から飛び降りる。
指揮官の返事は聞いていないが、自由に行動していいとの事だったので大丈夫だろう。
女の子
「おとーさーん!」
駅に近づくと、今から戦場になるここに似つかわしくない声が聞こえてくる。
「…女の子の声?」
近づくと何故そんな声が聞こえてきたのかが分かった。
女の子は駅の外に出て遊んでおり、他の人間達は入口付近に集まっている。