第14章 任務
これで話は済んだだろうと彼らから目を離そうとした時、ラクスの何気なく呟いたその言葉が頭に響き渡った。
「……その言葉、覚えておきなさいよ」
ラクス/レーネ
「…!」
お兄ちゃん達以外の吸血鬼とたくさん話し、好奇の目に晒されたからか気が立っていたのかもしれない。
思わず少し殺気が漏れ、2人の顔に焦りと驚きが浮かぶ。
「そろそろ時間だね」
チェス
「そうですねぇ」
「チェスはのんびりしてていいよ」
チェス
「はーい」
固まる2人を放って、お兄ちゃんの殺気で慣れているチェスへと声をかけた。
これで自由に動ける。
無意識に腰にあるレイピアの柄を撫でると、ラクスが反応した。
ラクス
「お前そんなので戦うのかよ」
「悪い?」
ラクス
「…いーや」
確かに私の武器であるレイピアは一見殺傷力が低く見える。
でもただのレイピアでは無い。
わざわざ教える事でもないのでそれ以上は語らず、そのまま指揮官達がいる最前線へと向かった。
指揮官
「これはアリス様、こんなに前に来られて大丈夫なのですか?」
突然現れた私に一瞬驚いた様子を見せたが、すぐに表情を戻す指揮官。
彼の言葉に周りの吸血鬼もニヤニヤと笑っている。
「別に大丈夫です」
そう素っ気なく答えて駅を見る。
まだ人間は来そうにないが、ここは居心地が悪い。