第14章 任務
チェス
「えー?何でなんですかぁ?」
「簡単だよ。あの吸血鬼達見て」
私が指差した先は駅の中にいる吸血鬼。
チェスが見た事を確認して続ける。
「はっきり言って弱いでしょ?」
チェス
「そうですねぇ」
容赦なく肯定するチェス。
その姿に苦笑しながら少し頭が悪いチェスにも分かる様に内容を考えながら話す。
「日本帝鬼軍は今まで新宿を中心として近くから奪還してる。こんな離れてる所に来るとは思わないから上位始祖も弱い吸血鬼を配置してるんだろうけど…」
そこで止めて人間へと目を向ける。
私の視線を追いかけてチェスも人間の方を見た。
「ここの人間の数は他の所に比べてかなり少ないからこの人数なら新宿辺りにでもに受け入れられる。だからだと思うよ」
チェス
「へー。わざわざ人間を保護する為に来るんですかぁ」
仲間を助けに危険を犯すなんて吸血鬼には縁がない事だからか、不思議そうなチェス。
でも今回のはそんな綺麗な話ではない。
「違うよ。日本帝鬼軍は免罪符が欲しいだけ」
チェス
「免罪符…?」
「うん」
チェスには難しい言葉だったかもしれない。
別の言葉を探そうと考えた時だった。
ラクス
「何それ?面白そうな話してるなぁ〜」
突如話に割り込んできたラクス。
その後ろにはレーネもいる。