第14章 任務
チェス
「でもこの程度の任務に貴族が2人も導入されるなんてよっぽど下位の吸血鬼は弱いんですねぇ〜」
「吸血鬼が足りないんだよ」
こうして気軽に話しているが、チェスもお兄ちゃんに不利益だと思ったら私を殺そうとするはずだ。
つまりここに味方はいない。
改めて気を引き締めていると、指揮官が全体を確認して任務の詳細の説明が始まった。
指揮官
「今回の任務内容は人間が奪還しようとしている美祢市へ先回りして待ち構え、殺す。では移動を開始する」
指揮官の説明をしっかりと聞き、いよいよ始まる事を悟る。
深く息を吐いて前を向くと、恐らく指揮官の隊で2番目に偉いのであろう吸血鬼が声を上げた。
吸血鬼1
「行くぞーー!!」
この号令で動き出す吸血鬼達。
「私達も行くよ」
チェス
「はぁい」
気乗りしないが、私達もその後ろを追った。
*****
少し歩いて目的地である美祢市にある古い駅へと到着した。
この駅では保護している人間はかなり少ない。
だからか、人間を守るという名目でここにいる吸血鬼も弱そうに見える。
「何のためにこんな所を奪還しようとしているのかと思えば…」
日本帝鬼軍の本拠地からかなり離れた美祢市を奪還しようとしていた理由。
それを私は分からなかったのだが、この場所に来て理解できた。