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罪と罰【終わりのセラフ】

第14章 任務




フェリドが任務の詳細を知らなかった為、当日まで内容は分からない。
でも人間を殺す事になるだろう。


「…っ」


止まっているはずの心臓がズキリと痛んだ気がして胸元を擦り、レイピアを取り出す。
お兄ちゃんの言う通りに細工を始めると、少しは気が紛れたようだった。



*****



任務当日、屋敷から出る前に私はお兄ちゃんの元へと向かった。
部屋の扉をノックして開く。


「お兄ちゃん」


椅子に座って何かを書いている背中へと声をかけると、お兄ちゃんは手を止めて振り返った。


クローリー
「ん?」

「あれ、貰っていい?」

クローリー
「ああ…」


時計を見て私が出る時間だと気づいたのだろう。
私の言葉を聞いてお兄ちゃんは机に置いていた箱を手に取る。


クローリー
「ほら、一応5日分取ってあるよ」

「ありがとう。いってくるね」

クローリー
「ああ、気をつけろよ」


時間もないのですぐに部屋を出た。
そして外へ向かいながら箱の中身を上着の内側に移していく。

全部で5本の小さなビン。
その中には毒々しい赤色の液体が揺れている。


「…全部持った」


武器にお兄ちゃんの血が5日分、必要な物は揃った。
後は覚悟を決めるだけだ。


「いってきます」


息を吸い、玄関を出て一言呟く。
その声に返事は帰ってこないが、そのまま目的地へと急いだ。
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