第13章 日本帝鬼軍
クローリー
「フェリドくんの事だ。吸血鬼に恨みを持った子供がどこに行くかくらい簡単に想像できるはずだろう?」
「…つまりフェリドは優ちゃんが生きて日本帝鬼軍にいる事を知っていた?」
クローリー
「そうなるね」
バレないようにと釘をさしてきたという事はフェリドくんは知っていたという事になる。
だからいつもの仕返しとしてそれを教えると、アリスの顔は怒りに染まった。
「それなら話さなくても良い?」
クローリー
「良くないよ。今話さなくて後から知っていた事がバレたら余計面倒になる」
「………」
言いたくない、何も言わなくても伝わってくるアリスの気持ち。
でもその気持ちは汲んであげられない。
クローリー
「アリス」
「…分かった」
返事を促すと、渋々といった様子で頷いた。
渋々でも報告してくれるなら別に構わない。
クローリー
「よし」
了承したご褒美として頭を撫でた。
気持ち良さそうに目を閉じる姿を見て笑みが浮かぶのを感じつつ、アリスから離れる。
クローリー
「じゃあ帰ろうか」
「うん」
歩き出したアリスの後ろで僕は見えなくなった新宿の方へと目をやった。
今日の任務で吸血鬼が何人も死んだだろう。
僕らみたいに逃げられなかった吸血鬼もいるはずだ。