第13章 日本帝鬼軍
「鎌を掛けたの」
クローリー
「へぇ…」
「あの人、化け物の傍にいた女に優に抱きつけって言ってたでしょ?」
確かに言っていた。
その言葉通り女が化け物になった人間に抱きついていたのを僕も見ている。
「だからその優はあの優ちゃんと同一人物なのか確認する為に、優一郎って名前を出したの」
クローリー
「そしたら反応があった?」
「そう」
この子は想像していたよりも頭がいいかもしれない。
僕とフェリドくんが近くにいたら止めたであろうあの男との会話。
それを僕らが離れた少しの隙をついて成し遂げた。
つまりこれは僕らがアリスを甘く見た証拠。
クローリー
「それフェリドくんにも話しておいて」
この話を聞いたら僕らよりもアリスの方が一枚上手だったとフェリドくんも分かるだろう。
そう思い言ったのだが、アリスは嫌そうな顔をしている。
クローリー
「不満?」
「何ていうか…殺そうとしたり逃がしたりして私達のを弄んだフェリドには優ちゃんの事教えたくないなって」
アリスの言い分は最もだ。
でもフェリドくんは優が日本帝鬼軍にいる事なんてかなり前から知っていた可能性が高い。
クローリー
「それでも報告はしておいた方が良い」
「でも…」
クローリー
「よく考えてみろ」
まだ反論しようとする言葉を最後まで聞かずに遮る。