第13章 日本帝鬼軍
敵である吸血鬼の生体実験をする事なんて容易に想像できた。
クローリー
「例えば死なないように気をつけながら何度も、何度も体を切られ続ける。修復能力を調べる為に」
いくら死なないとは言っても痛みが無い訳では無い。
我慢はできるが、人間と同じ様に痛いのだ。
でも人間は吸血鬼の事はお構い無し。
それは私達も同じ様なものなので文句は言えないが、人間はやっている事が残酷すぎる。
クローリー
「分かったかな?あの行動の危なさを」
痛い程理解した。
口にしなかった心の声が行動に現れ、壊れた玩具の様にこくこくと頷く。
クローリー
「……大丈夫だ」
そんな怖がっている私を安心させる為か、優しい声と共に頭へと優しい手が置かれた。
その感触に顔を上げると、お兄ちゃんと目が合う。
クローリー
「もし、捕まりそうになっても僕が助けるよ」
「お兄ちゃん…」
クローリー
「そもそも油断しなければアリスは強い。余程の事がない限りそんな事は起きないだろうけどね」
私の頭を少しだけ撫でてからお兄ちゃんが離れて行く。
つまり話はこれで終わりという事だ。
お兄ちゃんの言う通り、私は油断しなければ充分実力はある。
これからは油断しないと頭に叩き込んだ。
クローリー
「さて、あんな無茶してまで話したんだ。何か聞き出せたかい?」
「うん。優ちゃんが生きてたの」