第13章 日本帝鬼軍
「…ごめんなさい」
クローリー
「謝らなくていいよ。ただ君はもう少し危機感を持った方がいい」
今回は私が悪いと自分でも思ったので素直に謝ったのだが、お兄ちゃんは怒っていないらしい。
言い方は少し冷たいけど顔が笑っているのがその証拠。
本当に怒ったらお兄ちゃんは笑う事など一切なく、冷たい目をしていたのを覚えている。
だからこれは吸血鬼として生きる為の教育だろう。
クローリー
「日本帝鬼軍は何の為に吸血鬼を殺さずに捕まえてるのか分かる?」
やはりそうだった。
説教ではない事に安心しながら、お兄ちゃんの問いの答えを考える。
先程、暮人と呼ばれた男は貴族を捕まえようとしていた。
下位の吸血鬼では無く貴族と指定した暮人。
貴族の方が強いのにも関わらずだ。
ただ貴族が強すぎる為、下位の吸血鬼が捕まる報告の方が多い。
そんなにたくさんの吸血鬼を捕まえる理由として思い浮かぶのは1つ。
「吸血鬼の情報を集める為?」
貴族だと下位の吸血鬼では知り得ない情報を持っている。
でも捕まえる事ができないから下位の吸血鬼の情報を色々集めているのかもしれない。
そんな考えて導き出した答えにお兄ちゃんは首を振った。
クローリー
「生体実験だよ」
「……!」
その言葉にハッとなり、体が強ばる。
同じ人間に人体実験をするくらいだ。