第13章 日本帝鬼軍
そのまま私達は振り返る事なく、戦場から立ち去った。
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人間達が絶対に追いつけないであろう距離まで離れてから急ぐ事を止めた私達は、ゆっくり屋敷に向かっていた。
クローリー
「あの虎を躱す時、どうして僕達の方に逃げなかった?」
その道中、色々と問い詰められながら。
「彼と話したかったから」
あの時お兄ちゃんと共に逃げてしまっていたらグレンと呼ばれたあの男とは話せなかった。
フェリドがそばにいては声を出せなかったし、近づくチャンスはあれが最後だっただろう。
「スナイパーは絶対に彼には当てないはず、だから懐に入った」
クローリー
「なるほどね…」
隠す事なく説明すると、お兄ちゃんは深く頷いた。
一応筋は通ってるはずだ。
そう思い、恐る恐るお兄ちゃんの顔色を伺う。
「………」
クローリー
「ふぅ…」
真顔で吐いたそのため息に怒らせたかとヒヤッとしたが、すぐにお兄ちゃんの顔はいつも通りの柔らかさを取り戻した。
クローリー
「あの行動の意味は分かった。最後に来た彼に捕まっていたかもしれないけどね」
「…うん」
笑顔で言われた嫌味に、私は言い返す事ができない。
お兄ちゃんの言う通りあの時は本当に危なかったのだ。
気づくのが後少しでも遅れていたら私は捕まっていた可能性が高い。