第13章 日本帝鬼軍
クローリー
「相変わらずプライドないな、君は」
好戦的な人間とは違って一気に戦う気が失せてしまっているフェリド。
そんな彼の一言で吸血鬼は撤退する事が決まった。
フェリド
「じゃあ帰ろうか。僕がやりたかった事はちゃんと終わったし」
「…?」
クローリー
「やりたかった事?」
この2人の傍だから一応声を出さずに首を傾げる私と、疑問を口にするお兄ちゃん。
フェリド
「こっちの話。じゃあクローリーくん、この娘をちゃんと連れて帰ってね」
そんな私達の反応を見てフェリドは楽しそうに笑うと、優ちゃんがいた辺りに1人で立ち竦む吸血鬼の元へ去っていった。
離れているから撤退する事を教えに行ったのかもしれない。
クローリー
「………」
フェリドに反応しなかったお兄ちゃん。
不思議に思いそちらを見ると、お兄ちゃんはフェリドの背を見つめながら何か考え込んでいた。
本来なら邪魔はしたくないが、あまりここに長居は出来ない。
「お兄ちゃん、帰ろ」
クローリー
「ああ…」
呼びかけても少し反応が鈍いお兄ちゃんの手を取り、人間が少ない所に向かう。
突然私達が近づいてきた事に動揺しながらも、剣を振り上げる人間達をを軽く躱して包囲を抜けた。
暮人
「逃がすな!!」
遠くから声が聞こえたが、貴族の足には追いつけないはずだ。