第13章 日本帝鬼軍
そう判断した私はこちらを見ようとしない男の胸ぐらを掴んで引き寄せ、強制的に視線を交わらせる。
「真昼を知ってるでしょ?」
目の前で真昼の名前を出すが、男に変化はない。
本当はもっと情報を引き出せる様に聞きたいが、もう時間がない。
「次、会う時に真昼の事を教えて」
オールバックの男
「………」
真昼の事では表情すら変わらなかった。
でも先程のあの武器を彼が持っているのだから、絶対に知っているはずだ。
だからこそ次の機会にと念押しをしておいた。
クローリー
「早く来い!」
返事は返ってこなかったが、代わりに聞こえたのは私を呼ぶお兄ちゃんの声。
この声から察するにもう時間が無いのだろう。
「それともう1つ」
そう言って男から手を離すと、私は最も気になる大切な彼の事を口にした。
「優一郎に下手な真似したら許さない」
オールバックの男
「な……」
表情の変化を見る為に言った名前。
それには目を見開き、声を漏らしてしまう程の反応を見せる。
「優ちゃん、元気でね」
あの化け物が優ちゃんだと確信した私は、優ちゃんに向けて笑顔で呟いた。
気を失っている様に見えるし、距離が離れているから聞こえてはいない。
それでも嬉しかったからこその行動だった。
「…さてと」
真昼の事は聞けなかったが、かなりの収穫。